书名 战国小町苦劳谭
(资料图片仅供参考)
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作者: 夹竹桃
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
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千五百七十八年 五月中旬(*原文网页序列号 - 200)
才蔵が勝利した真壁(まかべ)氏幹(うじもと)との一騎打ちは、その結果に注目していた国人の動向も相まって、瞬く間に東国全体へと広まっていった。
才藏与胜利的真壁氏宗一决胜负,随着结果引起国人的注意,瞬间在东国全区扩散开来。
氏幹が敗北したことにより、佐竹はもとより里見すらも織田の軍門に下るかもしれないという状況となり、北条は更に苦境に立たされることとなる。
氏干败北,使得佐竹和里见甚至可能向织田投降,北条也将面临更加困难的境地。
また氏幹本人の容体は、レントゲン撮影など望めないため触診と本人からの問診により、上前(じょうぜん)腸(ちょう)骨棘(こつきょく)の亀裂骨折と診断された。
同时,由于无法进行X光摄影等检查,只能通过触诊和本人提供的讯息,诊断出他的上前肠骨棘发生了骨折。
上前腸骨棘とは、腰に手を当てた際に感じることが出来る部位であり、外科的に金属ボルトで固定するなどの処置が望めない以上は極力固定して自然治癒を待つしかない。
上前肠骨棘是一种可以感觉到腰部的部位,由于无法进行外科治疗并通过金属螺钉固定,因此只能尽可能固定并等待自然愈合。
そして治った処で以前のような戦働きが出来るかは判らないと告げられた氏幹は、真壁家の家督を実弟である義幹(よしもと)の子、房幹(ふさもと)へと譲ることに決めた。
随后,医生告诉尹幹说,即使治愈了他的伤,也不确定他是否能像以前那样再次参与战斗。尹幹决定将真壁家的家督传给義幹的儿子房幹。
こうして当主としての役目を果たした氏幹は、才蔵との約束を守るため傷の治療に挑むこととなる。
这样一来,作为家主履行义务的氏幹,因履行与才藏间的约定而挑战伤口治疗。
これは氏幹に嗣子(しし)(家を継ぐ子息、跡取りという意味)が居ないこと及び、弟が別に家を興していることに起因する。
这是由于氏干没有合适的儿子(指继承家业的儿子)且弟弟另起炉灶所导致的。
とはいえ房幹は未だ若く、後見人には親である義幹が就いて支えることになった。これだけならば単なる真壁家の世代交代に過ぎないのだが、影響はここで収まらなかった。
然而,房干尽管年轻,但监护人是他的亲父亲義干,他有了支持。这只不过是真壁家族更替的简单交替而已,但影响不仅止于此。
まず一騎打ち実現の条件通りに佐竹氏一門が降伏することで纏まった。両家が揃っていてさえ劣勢だった里見側も、ことがここに及んでは勝ち目なしと諦めたのか和睦へと傾く。
首先,依照实现单挑的条件佐竹一门投降,达成了和解。尽管里见一方在双方势均力敌的情况下弱势,但到了这个地步,他们已经认为赢无望,开始偏向和睦了。
双方が織田に下ることで意思統一が為されれば話は早い。最早北条に阿(おもね)る必要は無いと断じられ、堂々と才蔵へと降伏の使者が遣わされ、才蔵経由で信忠へと伝えられた結果、これが受け入れられた。
如果双方都向织田投降,就可以实现意志统一。这样就不必再向北条屈服。然后,堂堂正正地派出信使向才藏投降,并通过才藏将消息传达给信忠。结果,信忠接受了投降。
講和の条件については追々話し合われるのだろうが、これで北条は東国に於いて孤立することとなった。
讲和的条件会逐渐被讨论,但这使北条在东国陷入孤立。
一方、東北では伊達家が躍進を続けていた。蘆名はほぼ併呑されてしまい、今は残党が散発的な抵抗を続けている。
一方,东北地区伊达家族继续强势崛起。藤原家族已经几乎被吞并,现在只剩下残党还在进行零散的抵抗。
最上は善戦しているものの、最上家内の親伊達派たちが妨害をしているため、徐々に戦況は悪化していった。
最上虽然很努力地作战,但是由于最上家内的亲仙台派系阻挠,战局逐渐恶化。
これらのことから蘆名も最上も北条に援軍を出せるような余裕は無い。
这些情况表明,藁名、最上和北条都没有足够的余裕来派遣援军。
最早関東の覇者という言葉が空しくなるほど、北条は追い込まれていた。仮に織田家の調略が成功することなく、東北勢が一致団結して織田軍を挟み撃ちにしていれば勝機もあったのだろう。
最早关东的霸者这个词变得空洞无物,因为北条已经被逼到了绝境。如果没有织田家族的计谋成功,东北势力团结一致,夹击织田军队的话也许还有胜利的机会。
現時点での東国は孤立した北条を織田家の勢力が取り囲んでおり、織田包囲網どころか北条が逆に包囲されてしまっていた。
目前,东国被孤立的北条包围,而不是織田家的包围网。北条反而被包围了。
「コレさえあれば織田とも伍(ご)することが出来るのだ! 難攻不落の小田原城と、新火縄銃さえ有れば北条は負けぬ!」
「只要有这些,就能够与織田并肩作战了!拥有坚不可摧的小田原城和新式火绳枪,北条将不会失败!」
未だ籠城を続ける北条は刻一刻と悪くなる状況を肌身に感じていた。それでも関東の覇者という矜持と、旧式の物とは比べ物にならない性能の新火縄銃が彼らの目を曇らせていた。
北条继续坚持籠城,感受着每时每刻变得更糟的局势。即便如此,他们的骄傲地位作为关东霸主和比旧式武器性能更加出色的新火绳枪令他们目光短浅。
じり貧状態に陥った北条に、時は味方してくれない。次々に支城を奪われ、家臣たちは劣勢からくる焦りで衝突を繰り返す。
北条陷入了贫困的状态,时运并未站在他一边。支城一个接一个地被夺走,家臣们的焦虑引发了一次又一次的冲突。
難攻不落の小田原城を核とした先祖伝来の戦術は、既に崩壊しつつある。それでも敗北が北条の滅亡を意味している状況で、現実を直視出来るものは居なかった。
以难攻不落的小田原城为核心的祖传战术已经濒临崩溃。然而,在失败已经意味着北条灭亡的情况下,没有人能够直面现实。
逆に信忠を総大将に据える東国征伐軍は勢いづいていた。
相反,东国征讨军队以信忠为总大将,势头正在增强。
八王子城に続いて滝山(たきやま)城、津久井(つくい)城(筑井城とも言う)、河越(かわごえ)城、小机(こづくえ)城、足柄(あしがら)城に韮山(にらやま)城まで、小田原城を支える重要な支城を次々と攻め落とす。
紧接着八王子城攻破,接着攻占滝山城、津久井城(又称筑井城)、河越城、小机城、足柄城,最后攻破韮山城。这些都是支撑小田原城的重要支城,被陆续攻破。
いずれも名のある城だけに、その防御性能には定評がある支城だったのだが、織田軍の軍備性能と圧倒的物量の前に櫛の歯が欠けるように落城していった。
这些城堡都是名闻遐迩的城堡,因此它们的防御能力备受推崇,但面对织田军队的武器装备和绝对优势的数量,它们纷纷落城,就像梳子的齿轮一样被打破。
房総半島を支配下に置いた信忠が静子麾下(きか)の兵站(へいたん)を利用することで、絶え間なく攻め続けることが可能となった織田軍は破竹の勢いで進軍する。
信忠将半岛置于支配之下,利用静子麾下的兵站,使得織田军得以毫不间断地发动攻势。随着这种势头,織田军一路向前。
心配していた残雪も五月に入ると溶け失せた。やや肌寒い日が続いてはいるものの、充分に春の範疇(はんちゅう)と言える気候だ。
担心的残雪在五月一到就消失了。虽然天气有点凉,但已足够算得上是春天的范畴了。
要するに織田軍の進撃を阻むものは何一つなく、長期間北条を包囲しているにも拘わらず末端の兵に至るまで意気(いき)軒昂(けんこう)であった。
总之,阻挡织田军前进的事物一个也没有,尽管长时间包围着北条,但从末端的士兵到最高层都士气高昂。
戦況は好調であり気候も暖かくなりつつある。更には兵員や物資も潤沢にあるため北条方とは対称的に余裕すら見られる。
战况良好,气候也在变暖。并且由于士兵和物资都很充足,与北条方相比,甚至可以看出一些余裕。
対する北条は、敵が越冬して攻囲を続けるという経験が少ないためか動揺が著しい。飛び込んでくるのは凶報ばかりであり、誰かが急に裏切るのでは無いかと疑心暗鬼になっていた。
对于北条来说,由于缺乏敌人越冬并继续攻围的经验,因此他表现出了明显的动摇。不断有凶报传来,他怀疑某些人会突然背叛他,充满了疑惑和不安。
それでも何とか籠城を続けられているのは、新火縄銃という希望に加えて、かの武田や上杉ですら攻め落とすことが出来ずに撤退したという過去の栄光に拠るものだった。
即使如此坚持籠城的原因是因为有新型火枪这一希望,以及过去武田和上杉等人无法攻破而撤退的辉煌历史作为支撑。
「例の銃が手に入ったというのは真(まこと)か!?」
“听说那个例子里的枪已经拿到手了,是真的吗?!”
兵站の拠点を八王子城まで押し上げた信忠は、前線より齎された一報に飛びついた。遂に北条方の内通者より横流しされた新火縄銃の数丁が、八王子城まで届けられたのだ。
信忠将军将军事补给站点推进到八王子城,立刻接受了来自前线的一份报告。最终,从北条方的内部人士非法获取到的几支新式火枪被运送到了八王子城。
北条としても虎の子の新兵器であるため、徹底した管理体制を敷いてはいたのだが、戦況が日々悪くなる状況下ではそれを手土産に寝返ろうとする不届き者も現れよう。
作为北条家珍贵的新武器,虽然已经建立了严格的管理体制,但面对日益恶化的战局,仍有些不守规矩的人想要拿它作为投降的筹码。
どのようにして盗み出したのかは判らないものの、北条が希望の星としている新火縄銃一丁、及びその銃弾十数発が信忠の目の前にあった。
虽然不知道是如何偷出来的,但北条心仪的新式火绳枪一把和十几发子弹就摆在了信忠眼前。
他の新火縄銃については信忠に帯同している技術班が既に分解し、その構造及び性能について分析を始めている。
其他新的火绳枪已经被技术小组随信忠带来并进行了拆解,开始对它们的结构和性能进行分析。
現時点で判明している事実としては、これが最新モデルかどうかは判らない。銃身には腔旋(こうせん)(ライフリングのこと)が切られておらず、特殊な加工が施された銃弾を従来の黒色火薬で撃ちだすといったものだ。
目前已知的事实是,我们不知道这是否是最新型号。枪管并没有切割膛线(即旋转枪管内壁上的沟槽),而是通过特殊处理来发射传统黑火药装填的弹药。
銃身の幅ギリギリ一杯の弾丸に、緩い螺旋状の浅い溝が刻まれており、火薬の爆発によって僅かに回転しながら銃弾が発射される仕組みのようだ。
枪管的宽度刚好装满一颗子弹,浅而宽松的螺旋槽被刻在上面,似乎是一种通过火药爆炸产生微量旋转从而发射子弹的机制。
銃弾の材質が鉛であるため、加工は容易なのだろうが回転力を得ようとすれば一発撃つごとに銃身に溶けた鉛がこびりつき、掃除をしない限り再発射が出来ない有様だ。
由于子弹材料是铅,加工可能很容易,但是如果想获得旋转力,每次开枪后铅会附着在枪管上,除非清洁,否则无法再次射击。
運搬中などに銃弾が変形してしまえば、そもそも銃弾を装填することすら出来ない可能性まである。
如果在运输途中等情况下子弹变形,甚至可能无法装填子弹。
更には銃身の清掃が充分で無ければ暴発の可能性も高く、織田軍の新式銃と比べれば著しく性能で劣ると言わざるを得ない。
此外,如果枪管清洁不充分,可能会发生误射,相比织田军的新式枪,其性能明显不足。
「新式銃の情報が少ない中で、よくぞこれだけの物を作り上げたものだ。鉄砲が日ノ本に伝来していかばかりか……恐ろしい進歩を見せている。足満殿が開発中の火薬を用いれば、更なる飛躍が出来ると聞いて背筋が寒くなるな」
“在新式枪械信息不足的情况下,做出了如此出色的武器。火枪已经传入日本,甚至还展现出可怕的进步。听说足满殿正在研发火药,这让人不寒而栗,更大的进步即将到来。”
足満が開発中の火薬とは、無煙火薬の一種であるコルダイト火薬である。更には銃弾にも工夫が予定されており、所謂完全被甲(フルメタルジャケット)弾だ。
足满正在开发的火药是一种无烟火药,名为 Cordite 火药。此外,还计划对枪弹进行改良,使其成为所谓的完全被甲(全金属外壳)弹。
銃弾を弾芯と被甲(ジャケット)の2パーツに分離し、鉛合金の弾芯を銅合金の被甲で覆うことで一体とする構造を取る。
将子弹分为弹芯和被甲两个部分,并采用将铅合金弹芯用铜合金被甲包覆成为一体的结构。
熱や摩擦に弱い鉛合金が被覆されることで銃身に溶けた鉛合金が付着するのを防ぎ、銃身の清掃間隔を伸ばすことが出来るのだ。
热或摩擦弱的铅合金覆盖层可以防止铅合金在枪管内融化并附着,延长了枪管的清洁间隔。
これらは単発式の新式銃に於いてはそれほど画期的な性能を発揮しないが、現在開発中の連発銃に於いては比類なき力を示すことになる。
这些在单发式新式枪械上表现并不画期,但在目前正在开发中的连发枪械上将显示无与伦比的威力。
「いずれにせよ北条は詰んでいる(・・・・・)。問題は東国征伐後だが……父上や静子が何も語らぬのが気にかかる。何も教えられないことに一抹の不安があるが、今は気にしても仕方ないか」
无论如何,北条已经陷入困境了(・・・・・)。问题在于东国征伐之后......父亲和静子什么也没有说,这让我感到有点焦虑。虽然不能教我什么,但现在担心也没有用。
信長が北条征伐後の関東をどうするかについて、静子と計画を練っているであろうことを信忠は知っていた。
信忠知道信长正在和静子一起策划如何处理北条征伐后的关东。
未だ北条との雌雄を決してはいないのだが、信長は既に勝利が確定したものとして動いている。それについては静子も同様であり、駿河(するが)国(のくに)を確保するよう進言していた。
尽管还未确定与北条的胜负,但信长已经行动,视胜利已确立。静子也同样支持这一行动,并建议确保骏河国。
(まあ、静子の目指すところが判らぬのはいつもの事だが、父上までが黙しておられるのが気にかかる。しかし、二人ともいくさを始める前より入念な計画を立て、開戦後はその確認作業だと言って憚(はばか)らぬゆえ心配は要らぬのだろうが……)
(嘛,虽然很像静子一如既往地没有透露她的目标一样,但父亲一直保持沉默让人担心。不过,两人在开始战斗之前制定了详细的计划,并在战斗后进行确认工作,他们说不必担心......)
臆病ゆえに用意周到な彼女が、何の根拠もなく飛び地となる駿河国を欲しがる道理は無い。静子や信長と知見を共有できないのをもどかしく思うと共に、もっと勉学に励むべきであったと後悔することになった。
因为懦弱而备考周详的她,没有任何根据就想要跳跃的骏河国是没有道理的。她不仅感到无法与静子和信长分享知识,而且还后悔应该更加努力学习。
信忠自身としては限られた時間の中で、己にとって重要と思われることに時間を費やしてきたつもりだが、神ならぬ身である以上はどうしても取りこぼしが出てしまう。
信忠自身觉得在有限的时间里,已经尽力把时间放在自己认为重要的事情上,但是身为凡人难免会有所遗漏。
俗にいうところの『隣の芝生は青く見える』なのだが、若い信忠にとっては割り切れることでは無かった。
俗话说“邻居的草坪总是看起来更绿”,但对年轻的信忠来说,这并不是可以接受的。
「まったく……屋敷での姿を見れば抜けているように見えるが、いざとなれば天下を議論できる智慧を示すのだから、皆があいつをいくさ場に出したがらない訳だ」
“完全……虽然看起来好像在宅邸里很随意,但一旦需要就会展现可以谈论天下的智慧,所以大家都不想把他推上战场。”
静子は洗練された義務教育及び高等教育の触りを学んでおり、彼女自身が考えているよりも広範の知識を深く身に着けている。
静子已经接触过精致的义务教育和高等教育,并且比她自己想象的掌握了更广泛的知识。
静子が運営する学校のお陰で、読み書きそろばん以上の高等教育を施すことが可能となってきてはいるが、それでも静子が身に着けている知識には遠く及ばないのが実情である。
由于静子运营的学校,使得比起识字识数等基本教育更能够进行高等教育,但事实上仍远远及不上静子拥有的知识水平。
ゆえに静子は前線に立たせるよりも、後方に控えてくれている方が安心できるというものだ。静子が居れば、明日は今日よりも更に良い日になると信じることが出来る。
因此,让静子待在后方比让她站在前线更让人感到安心。如果静子在,我们就能相信明天会比今天更好。
静子を後方に留め置くために、いつか自分たちが命を捨てねばならない時が来ることもあるだろう。そんな時でさえ静子を恨む気にはなれそうもない。
为了留住静子在后方,我们也许需要在有些时候牺牲自己的生命。即使到了那个时候,我们也不会恨静子。
己の命が潰えたとて、静子が居てくれれば己の意思を未来へと正しく繋げてくれると信じることが出来るからだ。
即使自己的生命已经消逝,但只要静子在身边,就相信她可以正确地连结自己的意志到未来。
「ふっ……臣下は俺のことを静子のように思ってくれるだろうか? 俺も自身は命を惜しみ、配下を死地に追いやる役目を負っているからな」
“呼……臣下是否也像静子一样看重我呢?虽然我也珍惜生命,但作为领袖,我肩负着将部下推向死亡的责任。”
苦笑しながら信忠は思う。せめて自身に未来を託して死んでいった者が、後悔しないような男になりたいと。
苦笑着信忠想着,他希望成为一个不会让那些把未来托付给他并死去的人后悔的男人。
最前線で信忠が東国征伐後に思いを馳せている頃、尾張に根を張った静子は頭を悩ませていた。中でも喫緊(きっきん)の課題としているのが、負傷兵の死亡率であった。
在信忠在东国征伐后沉思的最前线时,扎根于尾张的静子苦恼不已。其中,最紧迫的问题是伤员死亡率。
基本的にいくさ場で即死するケースは意外に少ない。いくさで負った怪我や病気が元で後に死に至るケースが圧倒的に多いというのが現実だ。
基本上在战场上立即死亡的情况意外地很少。实际上,因为在战斗中受伤或患病而在后来死亡的案例占绝大多数。
史実に於ける『第四次川中島の合戦』では武田側が約四千人、上杉側が約三千人の戦死者を出したと言われている。
据史实记载,“第四次川中岛合战”中据说武田方有约四千人战死,上杉方有约三千人战死。
しかし、往々にしてこういった数値は戦果を誇るために誇張されやすく、実際には多く見積もっても発表された値の20パーセント程度だろうと推測される。
然而,通常情况下,这些数字很容易夸大以炫耀战果,实际上即使估计较多,公布的值也只有大约20%左右。
そして静子が気にしている死亡率は、後者である負傷兵のものだ。適切な治療を施せば救える命が、手のひらから零れ落ちていることを憂いていた。
然后静子担心的死亡率是后者——受伤士兵的死亡率。她担心那些本来可以通过适当的治疗得救的性命正在溜走。
こうした死亡率を劇的に改善した逸話に、ナイチンゲールの話がある。
这些战斗死亡率显著改善的故事中,有一则是与南丁格尔有关的。
後に『クリミアの天使』とも呼ばれることになるナイチンゲールは、革新的な衛生管理や健康管理の徹底により40パーセント以上だった負傷兵の死亡率を、約2パーセントほどまで改善して見せたのだ。
后来被称为“克里米亚的天使”的南丁格尔,通过革新性的卫生和健康管理手段,将伤亡士兵的死亡率从超过40%降低到约2%。
「いくさで負った傷を自慢するのは判るけれど、それが原因で命を落とすんじゃ意味が無いでしょう……」
「炫耀因战斗而受的伤口虽然可以理解,但是因此而丧命毫无意义吧……」
ナイチンゲールは野戦病院の劣悪な衛生状況を改善することにより、悪夢のような負傷兵の死亡率を下げた。
南丁格尔通过改善野战医院恶劣的卫生条件降低了战伤士兵的梦魇般的死亡率。
織田軍に於いては正規軍に金瘡医(きんそうい)と呼ばれる医療集団が従軍しているため、比較的先進的な医療を享受できている。
在织田军队中,存在被称为“金疮医”的医疗团队作为正规军的陪从,因此可以享受相对先进的医疗。
しかし、いくさは正規軍だけで実行できるものではなく、陣借りの牢人たちや徴募された雑兵たちはその限りでは無い。
然而,战斗并不仅限于正规军,借阵的囚犯和征募的杂兵是无法受到限制的。
彼らは戦場で負傷しても満足に治療されることもなく、傷が原因の感染症などによって手足を失ったり、最悪の場合命を落としたりしていた。
他们在战场上即使受伤,也不能得到满意的治疗,而是可能因为感染等原因失去手脚,甚至丧命。
とは言え野戦病院を建てて医療提供体制を拡充しようにも、高度な知識と経験を要する医療従事者を急に増やすことなど出来ない。
然而,要建造野战医院并扩大医疗服务体系,也无法突然增加需要高度知识和经验的医疗工作者。
そのため静子はナイチンゲールの例に倣(なら)い、出来ることから始めることにしたのだ。
因此,静子决定效仿南丁格尔的例子,从能做的事情开始做起。
まずは最前線から少し下がった後方に野戦病院を建て、負傷者を収容するように指示する。従来負傷者はそのまま放置される事が多く、後送されることすら無かった。
首先从前线稍微后退一点建立野战医院,指示收容受伤者。传统上,伤者经常被直接放置在那里,甚至没有被后送。
次に清潔な医療物資を拡充する。包帯やガーゼにタオルなどという基本的な物資を潤沢に提供し、汚れた包帯が幾日にも亘って巻かれ続けたが為の感染症などを防ぐ。
接下来要扩充清洁的医疗物资。大量供应基本物品,如绷带、纱布和毛巾,以防止因为使用脏绷带绑了几天而导致的感染等问题。
更には野戦病院内の清掃を徹底し、医療従事者にも手指の消毒薬や感染予防のためのマスクなどを配布する。
此外,还将彻底清洁野战医院内部,并向医疗工作者提供消毒液和口罩等感染预防品。
最後に容体が急変しても気付かれにくい夜間の見回りを実施するよう促した。この見回りに関しては医療従事者でなくとも良く、発見して連絡することで死亡事例を防ぐことが出来るのだ。
最后督促进行夜间巡视,即使患者情况突然恶化也不易察觉。这项巡视不仅限于医护人员,只要发现后及时通知可以避免死亡。
(向こう傷は勇敢さの証という考えや、痛みや不調を我慢することを美徳とする考えは判らなくもないけれど、徐々にでも意識を変えていかないとね)
(虽然我能理解“那边的伤痛是勇敢的证明”的想法以及将忍耐痛苦和不适视为美德的想法,但是我们还是需要逐渐改变这种意识)
とは言え静子も命令書一枚で何かが劇的に変わると考えるほど傲慢(ごうまん)ではない。実際に運用してみて結果を記録し、効果を評価して詳細なデータとして積み重ねることで改善をし続けるしかない。
然而,静子并非傲慢到认为仅凭一张命令书便能带来剧变。唯有实际运用并记录结果、评估效果、逐步积累详实数据并持续改进。
ナイチンゲールの場合でも、彼女がクリミア戦争に従軍していた2年間だけで何かが劇的に変わった訳ではない。その後の数十年にも及ぶ貢献が評価され、今日まで偉人として語り継がれているのだ。
即使在南丁格尔的情况下,她参加克里米亚战争的两年并没有出现什么戏剧性的变化。她数十年后的贡献得到了认可,并被传颂至今,成为一个伟人。
静子としても自分の代で道筋を作り、自分の後に続く四六たち世代が普及させていってくれることを願うしかない。
只能希望自己作为静子能够在自己的时代开创道路,让接下来的四六世代推广普及。
(まあ、私が今気を揉んでも仕方ないよね。結局のところ人の力が国家の力になるわけだから、まずは織田家に味方してくれる人々の死者を少なくしよう!)
(嘛,现在我担忧也没用。毕竟人民的力量才是国家的力量,所以首先要减少支持织田家的人们的伤亡!)
喫緊の医療問題について区切りをつけた彼女は、次の報告書に目を通し始めた。
她结束了紧急的医疗问题,并开始阅读下一份报告。
ざっと読み進めてゆくにつれ、静子の顔つきは険しくなっていく。報告書の概要を読み終えた静子は、大きくため息を吐いた。
随着粗略地阅读,静子的表情变得严肃。阅读报告书的概要后,静子深深地叹了口气。
報告書には近頃彼女を悩ませている問題の一つである、キリシタンに関する記述があった。
报告书中提到了一个近期困扰她的问题,即与基督教徒相关的描述。
静子自身はこれといった信仰を持っておらず、強いて言うならば自然や祖霊を敬う日本人特有の緩い宗教観だろうか。
静子本身没有特别的信仰,如果硬要说的话,可能是尊敬自然和祖灵的日本人独特的宽松宗教观。
このため静子はどの宗教・宗派に対しても『政治に対する色気を出さない限り、布教を制限しない』というスタンスを取っている。
因此,静子采取了“只要不对任何宗教或宗派表现出政治意图,就不会限制传教”的立场。
無論、信長が定めた法を犯せば何の宗教であろうと制裁を加える。それゆえ、宗教関係者が静子領にて信者を獲得しようとする場合、『説法(せっぽう)』の形を取ることが多い。
无论信长定下的法律是什么宗教,如果违反就会受到制裁。因此,如果宗教人士想在静子领域获得信徒,通常会采用“说教”的形式。
それも異なった宗派同士で議論を戦わせるディベートに近い形式のものであった。
这也类似于不同宗派之间进行辩论的形式。
こうした宗教論争が毎日のように行われているため、暇つぶしに野次馬をしていた尾張の民は各宗教に対する知識がどんどん蓄積されていく。
由于类似的宗教争论每天都在进行中,因此观望的尾张居民们越来越积累了各宗教方面的知识。
朝廷の本拠地である京に於いても同様のことが行われているが、尾張の民からすればわざわざ遠出せずとも地元で見られる興行を見に行く気にはなれなかった。
朝廷的总部京都也在进行着同样的活动,但对于尾張的居民来说,他们不愿意特意外出观看本地区就能看到的表演。
仏教系に関してはこうした手法を取っているのだが、キリスト教関係者だけは異なる手法によって信者を集めていることが報告されていた。
关于佛教,采用了这样的方法,但报道称基督教信徒通过不同的方法聚集在一起。
大多数の宣教師は真っ当に布教活動をしているのだが、先鋭的な一部、それもキリシタンとなった領主自身が自領民に対して無理やり改宗を迫る事例が多いのだ。
大多数宣教士都在正常布教活动中,但也有一小部分锋芒毕露,甚至领主自己成为基督徒,强迫他们的领民改变信仰的情况屡见不鲜。
「幸いにして尾張(うち)は早い段階で、無理やり改宗させるのを禁じたけれど……それでもやらかす輩は出るんだよねえ」
“幸亏在早期,尾张地区禁止强制改宗......但总还是有些人会干出这种事”的意思是,“在尾张地区的早期,禁止了使用强制手段来改变人们的宗教信仰......但是还是有一些人会做出这种事情。”
強制改宗に関しては何もキリスト教だけに限った話ではない。仏教徒同士であっても異なる宗派へと無理やり改宗させられるケースもあるのだ。
强制改宗不仅限于基督教。即使是佛教徒之间,也有被迫改宗到不同宗派的情况。
特に領主が特定の宗教・宗派に傾倒している場合、領民たちにもそれを押し付けようとする事例が後を絶たない。
如果领主特别倾向于特定的宗教或宗派,那么把这种倾向强加给领民的情况就会不断出现。
静子領及び彼女が代官を派遣している領地に於いては目が行き届いているが、それに隣接する領地についてまでは干渉できない。
在静子领和她派遣代官的领地中有严格的监督,但是不能干涉相邻的领地。
しかし、隣接する領地となれば住民同士の交流もあり、知らず知らずのうちに徐々に浸食されてしまい、気が付いた頃には徒党が出来上がっているのだと言う。
然而,如果成为相邻领土,居民之间就会有交流,不知不觉中就会逐渐被侵蚀,到不知不觉间就会形成团伙。
これに対して静子が警告を発することで、その集団は即時に解散するのだが、彼らは地に潜り、連絡を取り合って巧妙に布教を続けていた。
静子发出警告后,该团体立即解散,但他们潜藏在地下,继续巧妙地传教,互相保持联系。
こうした事態を招いた隣接領地の領主には、静子から正式に抗議することになるのだが、彼らはあくまでも領民たちの自由な交流の結果だと言って憚らない。
这导致了邻国领主的反对,静子将正式致信抗议,但他们仍然坚称这是领民之间自由交流的结果。
抗議を受けても行状が改められない領主に関しては、静子の判断で潰して良いと信長から許可が出ている。
如果抗议得不到重视且领主依然不改变态度,信长允许静子予以镇压。
そうした際に派遣されるのは往々にして長可であり、宗教という毒に侵された領民に対して言葉による説得は然程効果が無いと信長が考えていることが窺えた。
在这种情况下,通常被派遣的是长可,可窥见信长认为对于被宗教毒害的领民,言辞上的劝说并不太有效。
「自らの愚かさの代償を命で贖(あがな)っただけだろう」
“这只是用自己的生命赎回自己的愚蠢代价而已。”
凄惨な制裁を科す長可に対する苦情が頻繁に届くのだが、それに対する彼の反論はシンプルだった。悔い改める機会は静子が一度与えている。
经常会收到针对长可实施残酷制裁的抱怨,但他的反驳很简单。静子已经给他一次悔改的机会了。
抗議された時点で必死になっていれば回避できた未来だと言うわけだ。
这意味着,如果在受到抗议时采取了必死的努力,就可以避免未来的问题。
「このままだと伴天連(ばてれん)(キリスト教宣教師)追放令にまで発展しそうだよ。実際に肥前(ひぜん)国(現在の長崎県及び佐賀県に相当)は長崎を教会領とした大村(おおむら)純忠(すみただ)の前例があるから、上様も注視なさっているようだけれど」
如果继续这样下去,伴天连(基督教传教士)可能会被驱逐出境。实际上,有肥前国(现在的长崎县和佐贺县)把长崎视为教会领地的大村纯忠的先例,所以上级似乎也在关注这件事。
大村純忠とは第十二代大村家当主であり、日ノ本初のキリシタン大名である。長崎港を開いたことでも有名だが、その開港理由に問題があった。
大村纯忠是第十二代大村家族的家主,也是日本第一位基督教大名。他以开放长崎港而闻名,但该港口开放的原因存在问题。
それは現代で言うならば外患(がいかん)誘致(ゆうち)に相当しかねない蛮行であり、信長が懸念している問題でもある。
这是现代所说的可能相当于引发外敌入侵的蛮行,也是信长所担忧的问题。
当時の長崎は寒村に過ぎなかったのだが、ポルトガル人を自領に呼び込もうと考えた大村は、長崎をポルトガル人に明け渡した。
当时的长崎只是一个贫穷的村庄,但是大村想要把葡萄牙人引入自己的领土,因此把长崎让给了葡萄牙人。
大村の入信は、当初ポルトガルとの貿易による利益目的と思われていたのだが、彼の信仰は過激なものであった。
大村最初的加入被认为是出于与葡萄牙的贸易利益考虑,但他的信仰却非常激进。
領内の寺社を破壊し、先祖の墓所まで暴いた。更には領民にもキリスト教の信仰を強制し、仏教の僧侶や神道の神官なども殺害するに至る。
摧毁了本地的寺庙和神社,并挖掘了先祖的墓地。强迫领民信奉基督教,甚至杀害了佛教僧侣和神道神职人员。
史実に於いては長崎だけに飽き足らず、茂木(もぎ)(長崎市茂木町)までをもイエズス会に寄進した逸話を持っていた。
历史上曾有这样的传说,他不满足于将土地捐赠给长崎,甚至将茂木(长崎市茂木町)也捐赠给了耶稣会。
これは日ノ本国内にポルトガルやイエズス会の領土が存在する状態となる。百歩譲って租借(そしゃく)ならば見逃された可能性もあったが、寄進となれば日ノ本統一を目指す信長にとっても看過できないのだ。
这将导致在日本境内存在着葡萄牙和耶稣会的领土。虽然可能会被认为是租借,但如果变成赠予的话,即使对于追求日本统一的信长来说,也不能袖手旁观。
とはいえさしもの信長といえど未だ九州に対して大きな影響力は持っておらず、指を咥えて眺めているしか無いのが現状だった。
然而,即使是織田信長,對九州的影響力仍然不大,現實情況只能是咬著手指眺望。
それでも同様の手法による侵略に対しては警戒を続けており、尾張近辺の領地に対するキリスト教勢力の浸透には神経を尖らせているのだ。
然而,我们仍在警惕采取相同手段的侵略,并且对基督教力量在尾张附近地区渗透的情况保持警觉。
「カトリックであるイエズス会と敵対するプロテスタント側のオランダ人や、イギリス人もそろそろ接触を試みてくるだろうね」
“荷兰和英国支持新教派的人们,很快就会试图与与天主教耶稣会敌对的一方接触。”
最新の報告に拠れば堺へはオランダ人が、神戸にはイギリス人が上陸を果たしたとある。今のところ両勢力共に大人しくしているようだが、拠点を定めれば活発に動き始めるだろう。
据最新报告,荷兰人已经登陆到了堺,而英国人则登陆到了神户。目前为止,双方势力都相对保持了沉默,但一旦确定了据点,就会开始积极活动。
そして彼らにはイエズス会に無い強みがあった。それは貿易に関して宗教を持ち込まないという点だ。イエズス会は布教と貿易が不可分であり、布教の自由を認めない限りは貿易を拒絶してくる。
他们有一个耶稣会所没有的优势,那就是他们在贸易上不涉及宗教。耶稣会将布道和贸易视为不可分割的,除非承认布道的自由,否则将拒绝贸易。
一方、オランダ人やイギリス人に関しては布教と貿易を別問題と捉えており、布教の自由がなくとも商業活動として貿易を受け入れるのだ。
然而,荷兰人和英国人将传教和贸易视为两个不同的问题,即使没有传教自由,他们也会接受贸易作为商业活动。
「やはり現地で彼らは紅毛人(こうもうじん)って呼ばれているのね」
“他们在当地被称为红毛人。”
歴史書等に頻出する『南蛮人』という言葉は、ヨーロッパ人全体を一括りにした呼び名という面もあるが、多くの場合ポルトガル人やスペイン人を指している。
“南蛮人”这个词经常出现在历史书籍中,它既可以指欧洲人的总称,也常常指代葡萄牙人和西班牙人。
これに対してイギリス人やオランダ人は紅毛人と呼ばれることとなる。理由は単純であり、髪や髭が赤みがかった色をしているからというものだ。
这就是为什么英国人和荷兰人被称为“红发人”的原因,因为他们的头发和胡须呈现红色。这是一个简单的原因。
何とも単純明快な命名に思えるが、中華思想を持った明(みん)の命名だけに中国から遠く離れた国に対する侮蔑の意味が込められているのは確かだろう。
看上去非常简单明了的命名,但作为具有华夏思想的明家命名,其中确实蕴含着对远离中国的国家的蔑视之意。
(彼らにとっては明こそが世界の中心であり、それ以外は取るに足りない野蛮な存在という驕(おご)りがあるんだろうね)
(对于他们来说,明确才是世界的中心,而其他的则是不值一提的野蛮存在,他们可能有一种傲慢的态度。)
キリスト教の布教を制限することによってポルトガルやスペインとの貿易が少なくなっても、オランダやイギリスとの交易を結べば経済的混乱は回避できる。
通过限制基督教传教,虽然可能会减少与葡萄牙和西班牙的贸易,但如果与荷兰和英国进行贸易,可以避免经济混乱。
そうなれば大村に対しても日ノ本を外国に売り渡す売国奴として、信長が武力行使する大義名分が成り立つだろう。
如果情况发展成这样,信长就可以以打击卖国行为为正当理由,对大村进行武力行使,使其成为出卖日本利益的叛徒。
それと同時に日ノ本各地に広がりつつあるキリシタン大名たちに対しても踏み絵を迫ることが出来る。
与此同时,也可以迫使遍布于日本各地的基督教大名踏上画像之路。
つまりは信仰に準じて他国に国を売り渡す朝敵となるか、信長を頂点とする日ノ本統治の一員として国家運営を担うかの二択となるのだ。
换句话说,要么根据信仰将国家出卖给他国成为叛国者,要么成为以信长为顶点的日本统治的一部分,负责国家管理。
仮に信仰を取ったが最後、その行く末は族滅である。女子供の区別なく、一族郎党が根絶やしにされることとなる。
假如最终选择了信仰,后果将是族灭。无论是男女老幼,整个家族都将被消灭。
「あら? これは……」
"哦?这是……"
東国征伐が終わるまでは様子見をするべき問題だと結論付け、静子は次の報告書へと目を通す。軽く流し読むと彼女はある事に気が付いた。
东国征伐结束前应该先观望,这是她得出的结论,静子开始阅读下一份报告书。当她粗略地浏览时,她注意到了一件事。
「勝蔵君を呼んできて」
请把胜藏叫来。
報告書を読み終える前に静子は控えていた小姓に対し、長可を呼び出すように命じた。
在读完报告书之前,静子命令侍从把长可召唤过来。
幸いにして長可は静子邸に留まっていたため、然程時間を置かずに長可が出頭してくる。
因为长可幸亏留在静子的家里,不久就自行前去投案了。
「どうした、何か面倒ごとか?」
“怎么了?有什么麻烦吗?”
長可は軽い口調で静子に訪ねながら、どっかりと腰を下ろした。髪は水気を含んでしっとりとしており、また表情も上気していることから入浴中であったのだろう。
长可轻松地问静子,一边坐下,一边含着水分的头发湿漉漉的,面部也因为洗澡而发红。
お楽しみの処を邪魔してしまったことに申し訳無さを感じつつも、静子は本題を切り出すことにした。
抱歉打扰了大家的愉快时光,但静子决定说出正事。
「ごめんね、急に呼びつけて。実は野伏(のぶ)せり(野盗と化した武士集団)に関する報告が届いているの」
“不好意思,突然把你叫来了。实际上,我们收到了与野贼(一群变成盗匪的武士团)有关的报告。”
「野伏せり!? そんな奴ら取り締まれば良いだろう?」
"蹲伏起来!?抓住那些人不就好了吗?"
「ところがそうも行かないの」
"但事情并不会那么顺利"
そう言うと静子は自分が手にしていた報告書を長可へと差し出す。訝(いぶか)し気に報告書を読み進めていた長可だが、みるみる表情が険しく変化した。
这时静子说着话递给长可手中的报告书。原本怀着疑惑的长可看着这份报告书越看表情越是严峻。
「おいおい! ただの野伏せりじゃねえのかよ!」
“嘿嘿!这不仅仅是个野盗吗!”
修羅の形相を浮かべる長可が叫ぶ。野伏せり自体はいくさで食うにあぶれた者が身を窶(やつ)すため、そう珍しいものではないのだが、報告書に記されている野伏せりの背景はいくさ由来では無かったのだ。
长可浮现出修罗般的面容,大声喊道。野伏者本身并不是什么稀罕事,通常是因为失去了战斗机会的人而被迫隐居。但在报告书中所记载的野伏的背景并非源自战争。
「ね? 割と根が深いでしょう? それで、どうしようか?」
“你看,这根本是个深潜的问题吧?那么,怎么办呢?”
「無論、鏖(みなごろし)だ」
"无论如何,都是一场骚乱"
「事情を把握している首謀者ぐらいは残して欲しいかな」
「希望能留下了解情况的主谋」
「別に裏取りなんぞ要らんだろう。拷問(ごうもん)したところで、北条の関係者ですとは言わぬだろう」
“其实也没必要进行后续调查。就算拷问了,对方也不会承认自己是北条关系者。”
「そうだよねえ……」
"是啊……"
「奴らの狙いは軍需物資に繋がるものばかりだったんだな。直接軍需物資を狙うなら兵站軍に捕捉されるが、たとえば収穫された大豆を奪われたところで食料を狙ったとしか思わない……」
「他们的目标只和军需物资有关。如果直接瞄准军需物资,就会被后勤军抓获,但如果抢夺了收割的大豆,那么只能认为是为了获取食物......」
彼らの巧妙な点は、重要な軍需物資である味噌に加工する前の大豆や、収穫された綿花や綿実油などの微妙な素材を重点的に狙うことにあった。
他们巧妙的地方在于,重点瞄准加工成重要军需物资味噌之前的大豆、收获的棉花和棉籽油等微妙的原料。
単純に金が欲しいのであれば、他にも狙い目となる物資は幾らでもある。重量当たりの単価が高い香辛料や乾物に調味料、酒などを奪えば、大金を手にして逃亡できる。
如果只是想要钱的话,还有许多其他目标可供选择。可以抢夺高价值的香料、干货、调味品和酒等物品,每单位重量价格高,抢到后就能拿到大量金钱并逃脱。
しかし、件(くだん)の野伏せりは特定の品目に狙いを定めて執拗に強奪を繰り返すのだ。生産拠点を集中化していることの弊害か、これをされるとボディブローのように地味に効いてくるのだ。
然而,那些野蛮人专注于特定物品,不断地进行抢劫。这可能是集中生产基地的副作用,因为这会像身体的削弱一样影响到生产力。
「随分と奇妙な野伏せりだよね。察するに自分たちの狙いが露見しないよう、多少は工夫を凝らしているようだけど明らかに異様だもんね」
“这些野伏很奇怪啊。看起来他们已经花费了一些心思来保护他们的目的不被曝光,但他们的行为确实非常异样。”
「徹底しすぎたことが裏目に出たな、特定品目の流通が滞れば流石に不審に思う。まあ、これも静子が統計を取っているからなんだろうが、北条も意外に腕が長い」
彻底的过度反而对我们不利,如果某些特定物品的流通出现问题,人们会开始怀疑。虽然静子在进行统计,但北条实力也不容小觑。
長可の言うように、遠く離れた相模(さがみ)国からこれだけの動員を掛けるには、それなりに立場のある者が音頭を取っているはずである。
根据长可所说,要从遥远的相模国动员这么多人,必须有地位相当的人在起头带领。
一件一件の事件だけを見ていては、その意図を察することが出来ないが、巨視的な視点に立てば違うものが見えてくると言う事例を静子は長可に示した。
静子向长可展示了一个例子:如果只看单个事件,就无法察觉到它们的意图,但如果站在宏观的角度上,就会看到不同的事情。
長可は静子の要請を受けて、彼らの背後までをも含めて一網打尽にするべく闘志を燃やす。
长可听到静子的请求后,燃起了斗志,决心将他们全部一网打尽,甚至包括他们的幕后黑手。
「折角馬脚を露(あらわ)してくれたんだから、相応に痛い目を見て貰わないとね」
"既然你露出了马脚,就应该得到相应的惩罚。"
「おう、任された」
“好,交给我了。”
静子の言葉に長可は軽口で応えた。
静子的话,长可轻浅地回答了。
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